「ラストサムライ」
2003年のアメリカ映画。トム・クルーズ主演。やっぱかっこいいっすねぇ。日本語を学ぶ場面でたどたどしく「ハシ?」「エダ ガ モエル」なんか言ってる様にも可愛げがあってとてもいい俳優ですよね(今更)。
正直に言って、私は日本史がほぼ全くわかりません。高校までの日本史の授業をほとんどまともに聞いていなかったからです。そして世界史も全く得意ではありません。
なので、この映画がどれだけ時代考証が優れているか(もしくはいないか)とか、どれだけ日本文化を偏見なく描けているのか、とかは全くわかりません。
それでも、この映画がとてつもなくすごい映画であることは全身で感じました。理屈がわからなくても、それだけのことを伝える力がこの映画にはあります。
クライマックスの戦闘シーンでは、
銃や大砲といった「正確に扱うこと」だけを要求する武器を効果的に扱うために個性を押しつぶし、自分や相手の命と向き合うことから意図的に目を背けさせ一人一人がシステムの一部になることを重視する「近代戦」と、
一人一人が自分の本質や命と日々向き合い、人としての力を最大に活かす武器である「刀」を使い、命を奪うことも奪われることも1つの運命として深い部分で覚悟し、それに美しさすら見出す、そんな個性の積み重ねである「侍の戦い」との対比が2時間半というやや長めの尺をたっぷり費やして実にうまく描かれていました。
もちろん、どちらが効率的か、あるいは強いか、は歴史が証明していますし、この映画でもその辺りを誤魔化すことはありません。
しかしそれでも、あくまで物語的(個人的にはここに「少年漫画的」とも付け加えたいところですが)な文脈において、ほとんど完璧な「侍」の描き方であると感じました。
トム・クルーズが手にする刀に彫られた「古きと新しきものを和する者」という言葉も、トム・クルーズ演じる大尉の立場をよく表しているような、いないような、曖昧ではあっても強引に感動させられてしまいます。
いい映画です。是非。
いつになく硬くて恥ずかしい文章になってしまったので、最後に下世話な一言を。
この映画の小雪、めっちゃ色っぽいな、この未亡人は!!!!
あ、あと、何ヶ所かで刀を投げて敵に突き刺していましたが、それはどうなんだろう(笑)。
「貞子vs伽倻子」
古くから人々は、「作品の枠を超えて、あいつとあいつを戦わせてみたい」という欲望を抱えてきました。
エイリアンとプレデター然り、バットマンとスーパーマンしかり、フレディとジェイソンしかり、あのレザーフェイスもジェイソンと戦ったことがあります。
その流れに遅ればせながらジャパニーズホラーがついに参戦、と言ったところでしょうか。
言わずと知れた「リング」の山村貞子、相対するは「呪怨」の佐伯伽倻子。この2人がついに激突します。
「おいおいおいおい、大丈夫か…」といろんな方面から聞こえてきそうなこの組み合わせ。
しかし断言しましょう、この映画、最高です。
私に限らず、映画の感想を言う際によく、「〇〇(設定や結末、など)目を瞑ればいい映画」という言い方をします。
この映画も御多分に漏れず、隙が多いです。都合のいい設定変更、疑問に尽きない登場人物たちの行動、そして結末。
しかし!それこそがこの映画の魅力なのです!
ラストの貞子と伽倻子のぶつかり合いは爆笑&興奮が止まりません!このシーンのためなら細かいあれこれなんざ笑い飛ばしてやる!という情熱をかんじます。
細部にこだわるのは、やめましょう。お酒でも飲みながら、ひたすら理不尽に無力な人間を2人が蹂躙する様を、思い切り笑って、震え上がって、絶望しながら楽しみもうではありませんか。
この映画はB級です。間違いなく。しかし最高です。
ついでに、聖飢魔IIの主題歌も最高にかっこいいです。小教典(聖飢魔IIはシングルCDをこう呼びます)を買ってしまうこと間違いなし!
「散歩する侵略者」
去年(2017年)の、黒沢清監督による日本映画。
舞台が原作らしいですね。なにやらいろんな賞を取っているらしいことと、ポスターや予告編から伝わってくる雰囲気がとても好みだったので観に行ったことを覚えています。
予想通りすごくいい映画でした。「概念」を盗む宇宙人というのが、すでにかなりツボな設定なのです。長澤まさみや松田龍平もとてもいい味を出していましたが、個人的には長谷川「シン・ゴジラ」博己演じる桜井が最高でした。
抵抗むなしく破滅へ向かっていく、どことなく寂寥感と無力感の漂う雰囲気もかなり好き。
それだけに、やや肩透かし感のある結末には少し不満が残りましたが、それを除けば満足感はかなり高いです。
ある程度好みが分かれるかとは思いますが、「大きな力の前にした無力な人間の抵抗あるいは無抵抗を眺めるのが好き」という性癖を私と共有できる方にはおススメです!
「グレイテスト・ショーマン」
この映画をきっかけにちょこちょこミュージカルを観るようになったが、未だにこの映画を超えるミュージカルを観たことがない。
ヒュー・ジャックマンといえばウルヴァリンのイメージしかなかったけど完全にひっくり返った!歌うまっ!!!
もうこの映画についてあれやこれや説明するのも無駄な気がするので、まずは観て欲しい。それが無理ならサントラを聴いて欲しい。
とにかく1つ1つの曲のクオリティが高すぎる。
とくにショットグラスがテーブルにぶつかる音を音楽に取り入れた「ジ・アザー・サイド」が最高にかっこよくてお気に入り。
また主人公が無理にヒーローヒーローしておらず、ひとりの野心を持った男として描かれているのも感情移入しやすくてグッド。
観てください。泣けます。観終わった後、少しだけ豊かな気持ちになってこの世界に帰って来られる、そんな映画です。
「ペーパー・ムーン」
区切りのいい10本目の記事ということで、この一本。
個人的なオールタイムベストに間違いなくランクインする作品です。
元々は、私が一番好きなバンドであるthe pillowsのライブDVDで、ボーカルの山中さわおが「久しぶりに観たけどやっぱり面白い」と言っていたのを聞いて興味を持ち、「ガキ使」の企画で松本人志も「一番好きな映画」に挙げていたのでいよいよ、ということでレンタル。
えー、なんと言うべきでしょう、とにかく、めちゃめちゃ好きです。
まず主人公の職業がいい。一言で言えば「嘘をついて高額な聖書を売りつける詐欺師」です。現代であれば確実に消費生活センターに目をつけられるやつですな。
でもその騙し方がなんとも心温まるというか、「こういう詐欺なら騙されてみたいな」と思えます。
そして主人公の相棒となる女の子。まだティーンエイジャーにもならないのにタバコを吸い、ときに主人公を超えるペテンの才能を垣間見せる早熟な子です。
これまたいい。環境ゆえに「大人にならざるを得なかった」子供が、信頼できる(?)大人である主人公に対し対等な付き合いを要求しながらも心を開いていく。
また主人公も決して生きるのが上手いタイプではなく、ときにこの少女に救われ、励まされ、2人は親子とももちろん男女の仲とも違う、不思議な関係を築いていきます。
利になるとなればなんでも利用する詐欺師と、いわゆる「不良少女」、こんなアウトローな2人であるるからこそ出せる空気感、信頼感、それらがとても心地よく、個人的にとても癒されました。
オススメの一本です。
「ファイト・クラブ」
デビットフィンチャー監督のブラックコメディ映画。
伊藤計劃のランニングピクチャーズを読んで、「すぐ観なければ!」と思い鑑賞。
結論から先に言うと、「かなり楽しめた!しかし人生を変えるほどではない」といった所かな(^_^;)
そもそもの期待値が高すぎてそこは超えられなかったけども、それでも傑作であることは間違いない。
まず何と言っても笑える。コメディである以上これはとても重要な要素である。家で見てたにもかかわらず大声で笑ってしまった笑
とくにラストシーンの「仕掛け」にはニヤリとした。スタッフの忍び笑いが聞こえて来そうだw
このシーンでこの映画に対する評価はかなり上がった。「ここでこの映画はおしまいだ。『悲しい』?『切ない』?まあ好きに解釈しなよ。クヨクヨするな!楽しもうぜ?」と言われているように思えたからだ。タイラーの声で。
それ以外にも褒めるところはいくらでもある。
音楽がカッコいい。映像もテンポが早く爽快で、やっぱりカッコいい。伏線の張り方が上手い。オープニングからテンション爆上がり。エトセトラエトセトラ。
とりあえず、余裕があれば吹き替えでもう一回観ます。
GHOST IN THE SHELL /攻殻機動隊
1995年公開、押井守監督のSFアニメ。
近年の様々なSF作品に影響を与えたものだと言われておりますな。
ロックで言えばビートルズ、ゾンビ映画ならロメロ、ゲームならスーパーマリオブラザーズと言ったところででしょうか。
ええ、もちろん大変面白かったですとも!
やはり伊藤計劃先生のオススメなだけはあります。
メタルギアや伊藤作品に通ずるところがこれでもかと詰め込まれていて(本来逆なのだろうけども)興奮しました。
アミノ酸の海から偶然生まれたものが生命でえるなら、情報の海から同じく偶然生まれた「意識(かなり大雑把かつ本来の語源を外れていることを承知で言えば偶発的に生まれたAIのようなもの)は、生命と何が違うのか。
この疑問はおそらくこの先何年たっても古臭くなることはないでしょう。
なるとしたら、ぜひそのときまで生きていたいものですなぁ。無理だろうけど(笑)。